ライオンのおやつ
多くの方々が感動した。とツイッターやインスタに載せていた作品。とても気になっていた。ドラマとしても放送されていたらしく、この書籍を読み終わりそれを知った。
多くの人が口を揃えていう言葉は「泣いた」であった。悲しみからくる涙なのか、感動からくる涙なのか分からなかったが、それほどまでに多くの人が涙を流してしまう物語とはどのようなものなのか。
タイトルのみでは分からないその内容。
読了したため、紹介しようと思う。
〜こんな人におすすめ〜
- 人の暖かさを感じたい人
- 死生観について考えたい人
〜作品の概要〜
○著者:小川糸
○出版社:ポプラ社
○発売日:2019年10月9日
○ページ数:255ページ
〜著者について〜
小川糸
1973年生まれ。 デビュー作 『食堂かたつむり』(2008年)以来30冊以上の本を出版。 作品は英語、韓国語、中国語、フランス語、スペイン語、そしてイタリア語など様々な言語に翻訳され、様々な国で出版されている。 『食堂かたつむり』は、2011年にイタリアのバンカレッラ賞、2013年にフランスのウジェニー・ブラジエ賞を受賞した。 またこの作品は、2010年に映画化され、2012年には『つるかめ助産院』が、2017年には『ツバキ文具店』がNHKでテレビドラマ化された。 『ツバキ文具店』と、その続編となる『キラキラ共和国』は、日本全国の書店員が主催する「本屋大賞」候補となった。 最新作は、『ライオンのおやつ』(ポプラ社)。
引用元:公式サイト
〜大まかな概要〜
ある島のホスピス(死期の近い患者に安らぎを与え、看護する施設)である「ライオンの家」へ船で向かっている主人公。
彼女は医者に余命を宣告されている。そんな中このホスピスにきたのには理由があった。
「自分がどのように人生の最後を迎えるか」これが大きなテーマだ。
彼女がどのように最後を迎えるのか。そのような物語だ。
〜感想〜
この作品のここがすごい!
- どのように人生の最後を迎えるのかというテーマの作品
このような情報を見ると、とても重々しく読むのがキツくなる作品と思えるかもしれない。しかし、この作品ではそれを感じさせない。なによりも暖かさを最も感じる作品であると思う。
概要で述べたように人や場所もそうなのだが、何よりも小川糸さんの文章事態がとても温かく心の落ち着く文章なのである。小川糸さんの作品は初めて読んだが彼女の優しさが溢れているような文章や言葉であった。
そのため、多くの人心を包む作品となっているように思える。是非心置きなく涙を流したいという人には読んで頂きたい作品だ。
考えさせられた事
この作品内に描かれていた印象に残った言葉がある。
『人生は一本のろうそくに似ている。自分で光を灯すことも消すこともできないけど、命をすり減らして誰かの光になっている。』
という言葉だ。
この言葉を読んだ瞬間、これほどまで前向きにうまく「人生」を表す言葉が他にあるだろうかと思わされた。もちろんあくまでも前向きに捉えた言葉であることを知って欲しい。粗を探せば言葉にはいくらでも粗があるものだ。それをどう捉えるかでその文章の持つ意味が変わってくる。
この言葉が印象に残った理由は、「灯すことも消すこともできない」という部分に納得させられ、「命をすり減らして誰かの光になっている。」という言葉に自分の価値や存在意義が見出されることにあるのではないだろうかと思った。
また、その自身の蝋燭は、本人にはいつ溶け切ってしまうか分からないという部分がある。多くの場合、突然蝋燭が溶け切ってしまう。また多くの人はそうなるとは思っていないタイミングでだ。
そんな中人生の最後を意識してどう暮らすかを実行していくのはとても難しいことのように思える。しかし、だからこそ、その時その時で悔いのない選択をしなければならないと思わされた。それが結果的に人生の最後を意識した生活となるのではないかと思う。
〜最後に〜
人の暖かさに触れ、この時間が永遠に続いて欲しい。そんな気持ちで読まされるこの作品。
しかし、主人公の彼女には余命が告げられている。
彼女の最後までどのように生きるのか。いろんな葛藤や恐怖の中、穏やかな心を保たせてくれるこの物語はとても新しい体験で面白く感動的だった。
是非読んでいただきたい作品だ!