〜少し雑談〜
この作品とても気になっていた。表紙の福笑いで作られた様な人の顔の絵。インパクトを残る帯の言葉。何より「人間」というタイトルに興味を持たされた。
お笑い芸人でもあり芥川賞作家でもあるピースの又吉さん。私とは比べものにならない程、多岐にわたる経験をし、本を読み多くの事を考えてきた事であろう。そんな人が描く「人間」という題名にはとても大きな期待が広がった。漠然としながらも共感や反感をかいやすいセンシティブなタイトルなのではないかと私は感じたからだ。
そう思いながら読み始めた。
〜大まかな概要〜
絵・文章での表現を生業としている主人公。ある日、誕生日の日に古い知人からメールが届く。主人公にとって過去だと言って消したいであろう記憶が蘇る。その時の知人に騒動が巻き起こっているという知らせ。
若かりし主人公を待ち受けていたものとは?
そして現在、その騒動がどう写っているのか?
〜感想〜
この作品には目次がない。作品内途中に1,2,3と分けられているのみだ。
それぞれに一言のタイトルをつけるとしたら①過去 ②現在 ③変化だと私は思った。
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主に上記した通り3つのことが書かれているのだがその中にも多くの興味深い言葉や考えさせられる事柄が含まれており、読んでいてとても面白いのだ。
そして途中途中でとても不思議な感覚に陥らされる。不思議な感覚と表現した通り一度読んだだけの私には、その文章や人、場面の移り変わるタイミング、もちろん目次がない事などが何を表現したいのか、理解しきれていないのだと自覚した。
だがこの作品を読んで所々に思い浮かんだ言葉は本当に「不思議」なのである。
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何が不思議なのかは読んでこの気持ちが共感できるか確かめて頂きたい。
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そしていつもであればこの後に私がこの作品で感じ深く考える事となった事柄を述べている。しかし、この作品にはあまりにもそれが多いのだ。その為、まだ整理がついていないというのが正直な話である。
その為今回は私自身忘れないようどの様な事を考える事となったのか、大まかにメモとして作品内に出てきた言葉や私自身が気になった言葉を羅列しておこうと思う。
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・人間
・幸せな時間は罪悪感を生む
・罪状は、自分の才能を信じている事
・個人の事は世界のこと
・愛とは
・自分の記憶は誰のものなのか
・傍観者は加害者
・肩書き
・人の弱さ
・罪の対義語
・本人にぶつける罵倒は仕事を削るのでは無く、命を削る行為なのだと気づくべき
・人間をやるのが下手
・命の重さの違い
・嫌いな人
・この世界にない言葉
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これだけ私自身考えたいと思った言葉や物、感想があったのだ。一度では消化しきれないほど中身のある小説に思えた。もちろんそれは私にとってだけかもしれないが。何度も読む必要が私にはあるようだ。
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「人間」というタイトル。ふと主人公に人間臭いと感じた。しかし、人間臭いとはどこから来た感想だったのか?それは、主人公の感情が全て赤裸々に明かされている点なのかもしれない。普段皆が隠しているであろう感情や言葉を、この主人公はこの作品内でこれでもかという程表出している。またこんなにも「嫌いな人」が登場する作品を私は読んだことがなかった。そんな部分も「人間臭さ」という感想に繋がっているのかもしれない。
〜最後に〜
又吉さんの作品は「火花」しか読んだことが無く、その時も今ほど作品について考えることもなく読書をしていた為この作品が特に面白く感じました、
この作品を読んでいると又吉さんはすごく繊細な人なのかな?と思わされたりもしました!
一度読み終わった後にまた読み直さなきゃなと思わされた作品📘
まだ書ききれないほどの言葉がたくさん残っていると思っています。
とにかくまた読もう。
皆さんも読んでみてください!