感想文

希望の歌「ゴスペルの本/塩谷達也」を読んでの感想

ゴスペルの本

前回はJazzの書籍。今回はゴスペルとブラックミュージックにどっぷりと浸かっているこの1週間だった。

ゴスペルを知るきっかけとなったのはやはり「天使にラブソング」ではないだろうか。あの映像や歌声にどれほど私は衝撃を受けたか。もしかしたら私のブラックミュージックを好きになった理由の一つかもしれない。

そんなこともあり、この作品を図書館で見つけ絶対に読もうと即借りた書籍だ。

あれほどまでに皆が笑顔で精一杯歌を歌い上げているのはこのジャンル唯一の特権と思わせられるほどそのイメージがあるゴスペル。なぜそれほどの力があるのか。そして聴いている側も力を感じるのか。そのルーツも含めこの作品の紹介をしたいと思う。

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〜こんな人におすすめ〜

  •  ゴスペルとはなんなのか知りたい人
  •  ゴスペルアーティストを知りたい方
  •  アメリカ黒人の音楽がどうできたのか知りたい方

この書籍にはゴスペルの歴史から、その歴史を牽引したアーティスト、そして「奴隷貿易」の話など、多くのゴスペルに関係する事柄が語られている。

大きなくくりでおすすめを言うとしたら、ブラックミュージックに興味のある方は、読んで損はない書籍であると思う。

この音楽が出来るきっかけとなった事柄はひとつのアメリカにとっての黒人の歴史を学ぶ良い機会となるだろう。なぜあれほどまでアメリカで人種差別が問題となっているのか、少しは分かることだろう。

〜作品の概要〜

作品名:新版 ゴスペルの本
著者:塩谷 達也
出版社:yamaha music media corporation
発売日:2010年3月17日
ページ数:128ページ

〜著者について〜

塩谷達也

国際基督教大学(ICU)教養学部卒。黒人文化(African American Studies)研究のためにニューヨーク市立大 (City College of New York)留学中に、「こんなに上手にゴスペルを歌うアジア人は初めてだ。次は“君の歌”を聴かせてくれ」と言われ「自分の音楽をつくろう!」と決意。City College of New YorkではMusic DepartmentでShiela Jordan、Lilias Whiteらに師事し、ジャズ、ポップ・ヴォーカルを学んだ。大学在学中はバンド活動のほかに黒人霊歌も歌う。

帰国後、大学の音楽サークル仲間を中心に「LOVE CIRCUS」を結成する。吉祥寺・下北沢を中心としたライヴ活動が注目を集め、アルバム『LOVE CIRCUS』で、インディーズ・デビュー。外資系ショップを中心に好セールスを記録する。’97年にソニー・レコードと契約、2枚のマキシ・シングルをリリースした他、メジャー、インディーズ合わせて、4枚のオリジナル・アルバムを発表。スピリチュアルな歌声を持つシンガーとしてだけでなく、ソングライターとしての独特な世界観も、幅広い層から支持されている。’99年から西武コミュニティカレッジで人気講座「塩谷達也のゴスペルワークショップ」の講師を務めるなど、音楽活動と並行して、ゴスペルの「紹介者」としても活躍

引用:ゴスペルの本

〜大まかな概要〜

この書籍にはゴスペルとはなんなのか、そのルーツがどこにあり、何を歌っているのかというところまで網羅されている。また日本におけるゴスペルについても、作者である塩谷達也が熱く語っている。

さらにそれだけではなく、ゴスペルを牽引してきたアーティストとその中でも聴いてほしい曲までもが紹介されているのだ。

この書籍1冊で、「ゴスペルについて」「アメリカ黒人の歴史」「日本におけるゴスペル」「ゴスペルを牽引したアーティスト」を学ぶことができる

〜目次〜

  •  ブラック・ゴスペル・チャーチを訪ねる
  •  結局、ゴスペルがすべてのブラック・ミュージックを支えているんだよね
  •  ゴスペル・ミュージックの歴史を知る
  •  ゴスペル・ツリー
  •  ヒップホップは心の叫び、それはゴスペルも同じだよね
  •  ゴスペル・スタンダード
  •  この国のゴスペルのかたち
  •  日本にゴスペル・クワイアの文化を根付かせたクワイア・ディレクター
  •  ゴスペル語初級講座
  •  櫓たてて、盆踊りでゴスペルやりたいよね
  •  ゴスペル、それは僕らのDNAの中にある
  •  ゴスペルがおしえてくれたこと

 〜感想〜

 この作品のここがすごい!

  •  ゴスペルの入り口へ招待してくれる

この書籍は初心者にもわかりやすく、初歩的な部分からゴスペルを教えてくれている。その為、何も知識がなくとも読める上に知識として吸収できることだろう。

そして読んでいると、ゴスペルがやってみたいと思わされるような気持ちにさせられる。そんな作品だ。

またゴスペルの歴史を振り返りると、それはブラックミュージックの歴史に近しいものがある。これは是非多くの人に知ってほしい歴史だ。

なぜあれ程までに、アメリカでは今現在も人種差別が問題となっているのか。
日本では特に理解が難しい部分であると思う。そこには、今では考えられないほどの扱いを黒人さんは受けていたのだ。

この問題は知るべき問題であると私は思っている。

 印象に残った言葉

 ブルースは絶望の歌だけどゴスペルは希望の歌なの

この言葉はゴスペルの女王「マヘリア・ジャクソン」の言葉だそうだ。

この言葉を聞いた時私はなるほどなと納得した。よくよく考えてみると、確かにブルース悲壮感を心の奥底から叫びとして歌われる印象である反面、ゴスペル明るく笑顔で未来へ向けて歌われている。そんな印象を抱く。

どちらも過去の歴史を語るにあたって欠かせない音楽なのだ。

〜最後に〜

「ブラックミュージックを知りたい」と言う欲求から書籍を読み始めたが、やはり私が想像していた以上のことが過去のアメリカであったようだ。

しかし、そんな立場だからこそ生まれたこの音楽。人々の心を響かせないわけがないと思う。少なくとも私の中では最も好きな音楽だ。

世界中の音楽に多大な影響を与えているブラックミュージックを是非聴いていただきたい。そして知ってほしい。

この書籍は知りたい人の助けとなってくれるでしょう。