少しの雑談
まずこの小説の表紙デザインにそそられ手に取った。裏表紙に書いてある言葉にもとても読書欲を掻き立てられた。迷わず購入し読み始めた。
感想
読み終えて思ったのはこの小説自体が、
「死」を向かえた、ある人への「最後の手紙」のように思えた。
それは、過去の記憶・思い出を忘れ消してしまう為ではなく、過去にあった大きな結び目と向き合うことで解き、心の区切りとしてこの「Last letter」を書かれていると思わされた程である。
そんな中私がこの作品で深く考える事になったのは、先程から出ている「思い出」である。
思い出には多くの感情が重なり形成されているように感じる。自分の思い出を振り返ってもただ楽しかった事だけでなく、苦しかった、悲しかった、悔しかった、などのマイナスの感情が時を経て、研磨され綺麗な美化された思い出として自分の中に残っているように感じた。
その為もし、私は「思い出」と聞かれたら自然と良き過去の話をするだろう。その時は考えもしない、体験したマイナスの感情さえも美化して。
この本の主人公は過去(思い出)の愛と後悔に囚われている。私はそれを美しいことだと思う部分もある。しかし、客観的に見ると女々しく、執念深いと思われても仕方がない事だとも思う。
何も行動しなければ事は起きず、自分の気持ちのみで行動を起こすと、相手の気持ち次第では犯罪となる可能性すらあるのだ。好きというありきたりな感情は、とてもシンプルで美しく見えるものだが、自分がどういう人間かを突きつけられる傲慢さを持った感情でもあるのだと思う。
最後にこの小説内でも書かれている「出会い」だ。
無数の選択肢の中で生きる自分たちが、1つ選択を違えただけで今出会っている人には会っていないのかもしれない。恋人同士で話したことがある方々もいるのではないだろうか。偶然が重なり人は出会い・別れ、時が過ぎている。それを運命と呼べばそうなのだろうと私は考える。そう言ってもいいほどの奇跡的であり神秘的な事であると思うからだ。
今出会い私と関わりを持ってくれている人に改めて感謝の念を抱いた。
ある人の「死」からスタートしたこの物語は、自分を投影するとすごく残酷で悲しいことに感じます。憤りすら自分に感じるかもしれません。しかし、この本に与えられた感情は少しの切なさと多くの感動であった。
この事においてのなぜ?については「死」という事についても考えなければならないと思うが、また機会にしよう。
最後に
すごく美しい作品だったように感じます。切ないや感動する・驚きというよりも美しいという言葉が自分の中で一番しっくりきたこの小説を表す言葉でした。
是非読んでみてください!
映画もあるみたいです。