感想文

悲しさの中に感動がある、涙が自然と流れる作品「君の膵臓をたべたい/住野よる」を読んでの感想

君の膵臓をたべたい

一度読み再度今回読んだ再読本である。

再読を今までやってこなかったが、本棚を見ていてこの作品をもう一度読みたいと思った。

この作品は私が社会人になった時の読書を再び始めるきっかけとなった作品であった思い出がある。それほどまでに私には心に刺さった作品であった。

読書をしない人でもこの印象に残るタイトルは聞いたことがあるのではないだろうか。一時期話題になっていたはずだ。現在ではアニメ化や実写版で映画化されている作品である。

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〜こんな人におすすめ〜

  •  ときめきが欲しい人
  •  思いっきり涙を流したい人へ

この作品、主人公と同級生の女の子の関係がとても素敵だ。そのふたりの関係には「真逆の性格」という特徴がある。そんな2人の物語。なにか初々しさや、お互いの絡みがドキドキ・ワクワクさせてくれる作品だ。

また、これほど泣ける物語は私の中で、「私の頭の中の消しゴム」以来だった。今回読んだのも再読だったが、やはり泣いてしまった。それだけ心にくる物語だ。
これに同意してくれる人は多いのではないだろうか。

涙腺に優しくない作品だ。(笑)

〜作品の概要〜

作品名:君の膵臓をたべたい
著者:住野よる
出版社:双葉社
発売日:2015年6月17日
ページ数:262ページ

〜著者について〜

住野よる

高校時代より執筆活動を開始[7]。もともとは電撃小説大賞に応募していたが、一次選考に通らず、作風を見直して書き上げた「君の膵臓をたべたい」は、応募規定よりも長くなってしまい投稿できなかった[5]。他の賞に送るも結果は振るわなかったが「この作品だけは誰かに読んでもらいたい」という想いから、2014年2月ごろ、夜野やすみ名義で、小説投稿サイト「小説家になろう」に「君の膵臓をたべたい」を投稿[5]。同作が話題となり、双葉社から書籍化されデビューするに至った[5]。ペンネームの由来については、後付けと断っているものの「教室のすみっこにいるような子の夜に創造性があるはずだという意味」と語っている[6]

引用:Wikipedia

〜大まかな概要〜

ある高校生の主人公は病院である1冊の文庫本を拾う。その本のタイトルは「共病文庫」。この本は同じクラスメイトの女の子が綴った秘密の日記帳だった。その日記帳には、彼女が膵臓の病気を患っていること、そして余命が僅かしかないことを知る。

この事実は彼女と彼女の家族。そして今まで関わりのないクラスメイトの主人公しか知らない。そんな主人公とクラスメイトの女の子別の言葉で表すならば、「名前のない僕」と「日常のない彼女」この2人の物語だ。

 〜感想〜

 この作品のここがすごい!

  •  主人公の名前が最後の最後まで分からない

主人公の名前が最後の最後まで分からないというのには理由がある。これは主人公のお願いなのだ。しかしながら会話文において主人公の名前を呼ばなければうまく表現できない事もあるだろう。そのような場合は【】⇦このかっこが使用され、中に【地味なクラスメイト】のように主人公のことを表現されている。

この中に書かれるニックネームがまた良い味をだしている。この中に書かれる主人公のニックネームは、時間や、彼女の主人公に対する印象によってどんどんと変化してゆく。その変化が主人公と彼女の心の距離感そのままを表しているのだ。

 考えさせられた事

これは彼女の余命が短いということも関係しているのか、とても心に残る言葉が多く出てくる。この人はあともう少しで死んでしまうということを考えると、ひとつの言葉のそのままの意味だけでなく、それが表している多くの意味まで想像してしまっている自分がいた

しかし、これが当たり前にできるといいなとも思った。「死」が近いという事を知っているからかそのような意識になっているが、人はいつ生命を絶たれるか分からない。余命を伝えられたその人の前に自分の命が何かの要因で絶たれる可能性すらあるのだ。

人は自分が死ぬとは死を迎えるまで考えていない。だからこそ、友人や家族、恋人、その他多くの関わりのある人間関係内だけでも、ひとつひとつの言葉から分かる情報を受け止められるといいなと思う

この作品を再読し私が人に伝えたい事は自分の近くの人がいつまでも生きている、寄り添ってくれると甘えず、「もしかしたら」を、たまに考えてみて欲しいという事だ。ずっと考えてしまうと疲れるという人もいるだろう。だからこそ、時々でもいいのだ。

きっとそう考えられると人は優しくなれると思う。そして後悔のない接し方ができるのではないだろうか。

そんなことを考えさせてくれる作品である。

〜最後に〜

住野よるさんの文章は何か繊細さと侘しさをいつも感じる。

だからこそ私は好きなのかもしれない。改めてこの「君の膵臓をたべたい」を読み住野よるさんも好きな作家さんだと気づいた。今後住野よるさんの作品も追っていこうと思う。

この作品は是非小説で読んでいただきたい。私はアニメでも見たことがあったが、ひとつひとつのシーンの細やかな部分が、やはり小説の方が、住野よるさんの文章の方が綺麗に見えてくる。

是非一読して頂きたい作品だ。