感想文

自分の言葉を相手に効果的に伝える方法「伝わるしくみ/山本高史」を読んでの感想

伝わるしくみ

 

単行本版

kindle版

〜はじめに〜

blogを始め、本を題材として紹介させて頂いてる以上「伝える」について勉強しなればいけないと思っていた今日この頃。人に咄嗟になにか伝えるという分野はとても苦手な部類だ。

そこで「伝える」為には「伝わるしくみ」の理解が一番基礎であり重要な部分であると思った。この書籍には伝える方法というよりも、人に伝わるしくみが記載されている。

私はどうしても伝えたいという時に気持ちだけで文章を構成してしまう。いわゆる「感情のゴリ押しだ」そこには何の技術もなく、あるのは私の伝えたいという感情のみである。

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〜こんな人におすすめ〜

  • コミュニケーションをとるのが苦手な人
  • える仕事や行事がある人(プレゼン、営業、広告など)

このおすすめ理由は著者である”山本高史さん”のこれまで生い立ちにある。彼は家庭で一人っ子として育ったゆえに、一人で時間を潰す時間が子どもの頃は多かった。そのこともあり、彼はコミュニケーションが苦手、難しいと、この書籍内で綴っている。

そんな彼が変わったきっかけは同期との揉め事であった。そこで上司に言われた言葉によって彼は変化した。その言葉は

「疑われる方も悪い」

である。

この言葉が彼の意識を変え、行動を変えたきっかけであった。

コミュニケーションやそれに必要な知識のない彼がこの書籍を書き記したことは多くの人に希望と力を与えてくれる書籍なのではないかと思う。

コミュニケーションに苦手意識があるという方は世に多く回っている伝える方法とはまた視点を変え、この「伝わるしくみ」について書かれた書籍を読んでみてはいかがだろうか。

〜おすすめ出来ない点〜

  • 全肯定を踏むには時間がかかる点
  • 継続できるか少し不安になる

一番この作品を読んだ上でネックになるポイントは、行動に移したとしてそれに「どれだけの時間を裂けるか」とそれが「継続できるか」といった点ではないだろうか。

著者は元々広告を仕事としていた為、書籍に書かれていた作業が仕事に直結する。しかし、「伝える」という事を生業にしていない人には、そこまでしなくてはいけないのかと、少し身構えてしまう点があるのではないかと読んでいて思った。

しかしながら、この書籍に書かれていることは「伝わるしくみ」である為、読んだ上でどのようなしくみで人に伝わっているのかということを知るには有益であり、個人で仕事を完全にやっているという人でない限り、伝えるというのは多くの仕事において必要なスキルである。

〜作品の概要〜

作品名:伝わるしくみ
著者:山本高史
出版社:マガジンハウス
発売日:2018年9月18日
ページ数:208ページ
○読み終えた時間:4時間(メモとりつつ)

著者について

山本 高史(やまもと たかし、1961年 – )は、日本のこ、クリエイティブディレクター。京都府出身。

引用:wikipedia

経歴

大阪大学文学部を卒業後、1985年電通入社。2006年に退社し、独立。「株式会社コトバ」 設立後、関西大学 社会学部教授を兼ね現在に至る。宣伝会議のコピーライター養成講座では講師を務める。

引用:wikipedia

大学の文学部で学び、電通という大きな広告代理店にてコピーライターとして働いていたとのことだ。とても言葉に関わりの深い職業だ。

〜目次〜

第1章 言葉のメカニズムを知る

第2章 「脳内経験」と「脳内データベース」

第3章 「共有エリア」への道

第4章 言葉の使い方

大まかにはこの4章で構成されている。章ごとには細かな見出しが書かれており、とても読み疲れなく読める書籍だ。

〜大まかな概要〜

流れとしては、

①事故の苦い経験
②コミュニケーションは難しい
③ベネフィット(トク)の重要性
④受け手と送り手の立場
⑤脳内データベースの重要性
⑥アウトプットへの道
⑦言葉について

このような流れである。章の変化ごとに彼の失敗談などが記載され、失敗の経験則に基づきこの書籍に綴っているため、何か説得力を感じる。

〜感想〜

 この作品のここがすごい!

「伝わるしくみ」を万人に分かりやすく、伝えてくれている。

このような書籍を読む際、このような不安がある人もいるのではないだろうか?

「専門用語などが使われ読むのがしんどそう!」
「堅苦しく書かれていそうで気が滅入りそう!」などだ

この書籍においてはその心配は皆無である。初めてこのような分野を勉強したいという人にとっては基盤を作ってくれる入門書のような書籍になるのではないだろうか。

その要因として、1章ごとにある見出しの多さ一貫した「伝わるしくみに対する考え」にあるのではないかと思う。

この書籍は多くても、約2〜3ページめくると新しい見出しが出てくる。この見出しの多さは次の見出しまでに伝えたい言葉がその短いページ数に記載されているということである為、思考がまとめやすく読みやすい。

小説などにおいては多すぎる見出しは没入感などを妨げてしまう事があるかもしれないが、ビジネス書などはこの形で説明してもらえるとすごく助かるのだなと感じた。

また、一貫した考えにおいては彼の経験則が詳しく書かれており、その考えの中心は

「受け手が全てを決める」

という考えが一貫している。そしてその考えに対する答えは序盤で書かれ、それは

「受け手の言って欲しいことを言ってあげる」

という結論に至る。これはとても大きく、考えとそれに対する答えを書いただけでもちろんそんな浅い書籍ではない。初心者に分かりやすく基盤を整えてくれる書籍だ。

 印象に残った言葉

「言葉は欲望の発露である」

というこの言葉。なるほどなと思った。

無意識下でも発する言葉には、「受け手を自分の欲望の方向へ動かしたい」という欲望が現れているというのだ。例としてこのような事が挙げられていた。

「このキャンペーンが最善と考えます(ので採用して欲しい)」
「月曜日はどうかな?(会うのは月曜日がいい)」

などのふとした言葉を相手に伝えている際、受け手側に対してこれしてくれない?と伝えているのと同じなのである。

もちろんこれが悪い事と言っているのではない。しかし、一方的に欲望を押し付けると、断られるのが当然なのである。この「言葉は欲望の発露である」というもの、は言葉のひとつの特性を的確に捉えている言葉であると感じた。

 最後に

この書籍の最後にとても興味深いものがあった。それは、言葉不全という見出しである。

これを読んでくれている皆様にお伺いしますが、

「穿った見方」

の意味を言えるであろうか?この言葉の本当の意味は、

「物事の本質を捉えた見方」という意味だ。この言葉を皆が聞く時、「ひねくれた、偏屈」といった言葉が出てくるのではないだろうか。なぜか多くの人が間違った意味で覚えている日本語は多く存在するのだ。

言葉の知識を改めて考えさせられ、「伝わるしくみ」というものの理解が少し前進した。この書籍を読んだ上でほかの「伝える、伝わる」「受け手、送り手」の他の文献も読んでいこうと思えた。少しづつでも前に進んでいこうと思う。