感想文

「僕はイエローでホワイトでちょっとブルー/ブレイディみかこ」を読んで

少し雑談

最近アメリカの方でアジア人女性が6名が、白人男性によって射殺という事件がありましたね。これによってデモが起きていました。もう少し前にも黒人男性を白人男性が拘束。その後死亡という事件もあった。日本にいるとかなり遠く感じるこの人種差別という問題。勉強すべき問題であると理解した。

 

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感想

拝読させて頂きました。  この本を本屋で陳列されているものを見た時、表紙・タイトル・作者名・帯・2019本屋大賞ノンフィクション部門大賞などのインパクトの強さが目を引き購入した。  タイトルを見たとき、全くと言って良いほどこの作品の中身が想像出来なかった。唯一分かったのはちょっとブルーという部分くらいだ。

それ以外のイエロー・ホワイトに関しては、何のことを伝えているのか読む前は全く想像し得なかった。

それだけ私にとってこの作品に描かれている問題は身近では無かったのだ。

もしかしたら、多くの日本人にとってそうかもしれない。そんな事を思いながら表紙を開くとそこに書かれていた言葉は

「老人は全てを信じる

中年は全てを疑う

若者は全てを知っている

子供は全てにぶち当たる」 

ワクワクが先に立った。

この言葉はどんな事から導かれたのだろうと。

ちなみに「子供は全てにぶち当たる」以外はアイルランド出身の作家オスカー・ワイルドという方の言葉であると作中に書かれていた。

「子供は全てにぶち当たる」という部分がこの作品に描かれているのであろうと思い、読み始めた。 

この作品は母親の一人称視点から、息子が人間関係の悩みに対して、母親は助言を与え時には互いに悩み、息子の成長とともに母親にも気づきが生まれる。そんなストーリーに感じられた。そしてこの作品の1番の肝、問題となっている部分が「レイシズム」というものだった。人種に優劣があるという思想。人種的な問題がこの作品には経験とともに書かれていた。海外の方が頻繁に出入りする主要都市や観光地では、もしかしたら馴染深く考えられてきた事なのかもしれない。しかし、陸の孤島と呼ばれる宮崎で育った私には、かなり遠い問題に感じた。何故人種で優劣がつくのか理解が出来なかったのだ。 

この作品を拝読した上でいくつか感じた事があった。この作品でレイシズム的な発言をする人、それに反発する人みなが、自分の国や属しているエリア・身分に誇りや愛があるのだろうなと感じた。一番分かりやすい言葉として「愛国心」を挙げておく。愛がある故の問題であるように感じたのだ。何か釈然としない。そんな事を思った。

もちろん歴史的な背景による国の力関係というものも大きく関与していると考えているが、前述したものも現代の人たちに大きく関与しているように感じた。

もう一つに子供の成長と強さである。特にこの作品の子供達には頭が上がらない。今まで人種的な問題が無く歩んできた人間と、その環境が当たり前の人間。考える深さはスタートから段違いなのだと思い知らされた。

こんな言葉があった。「日本に来ると「ハーフ」もしくは「ダブル」と言われる。何故0.5なのか?何故2なのか?ハーフアンドハーフで1で良いのではないか?」 感慨深いものであった。相手にとって失礼な言葉と知らずに使う言葉ほど恐ろしいものはない。

私の好きな音楽のジャンルR&Bやsoul・jazzなど総称して日本ではブラックミュージックと良く言われる。これに関して私としては大きなリスペクトがある。日本でもそうなのかもしれない。受入れてくれる人もいるだろう。しかし全員がそう受け止めれはしないのだ。日本だから許されている言葉のように感じる。

そんな事を考えさせられた。 「子供は全てにぶち当たる」

作中多くの悩みを抱える主人公の子は、自分で歩み、時に助言をもらいまた進む。

ぶち当たるで終わっている部分も素敵だなと感じた。

正直これだけでは語れないほどの作品でした!しかし深く語るにはまだまだ私には知識が足りないようだ。学びが多く、何か素敵な親子関係、世界的に大きな問題など読み応えがとてもある作品です。それなのにこの方々にとってはただの日常なのです!

是非読んで頂きたい作品!

人によっては取っ付きにくく難しい事を書いているように感じたかもしれません。

しかし、あっという間に読み終わってしまうほど学びを楽しめた作品だった。