感想文

「i -アイ-/西加奈子」を読んで

 少しの雑談

この作品が「西加奈子」さんの作品を読み始めたきっかけの作品でした。友人に教えてもらったこの作品。とても私の中で印象に残る作品となりました。西加奈子さんのインタビュー動画も今回見させていただき、どのようにこの言葉や作品が浮かんだのかという部分が語られていて面白かった。

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感想

相棒の紹介もあり西加奈子さん i  を拝読させて頂きました。  多くの人が思った事があるであろう「存在意義」という、自分はこの世に必要なのか、そうでないのかというものを、深く考えさせられた小説でした。

その中で、この広い世界の中で、生きる人・死ぬ人の選択がどこがで毎日のようにされているという事はこの小説で痛烈に描かれている部分だと思います。それを知っているからこそ、選択の怖さというものがあるのだなと思いました。選択という幾つかに分岐した事柄を自分の意思で決めるという事は、後々「あの時こちらを選ばなければ」という言い訳が必ずついてくる。その選択という行為は、自分の人生、はたまた他人の人生を変化させるかもしれないものなのだと再認識させられました。  また、主人公の最初の大きな変化で私はなぜかひとつの波が生まれたような感覚になりました。

後から考えるとそれは小説の展開的になど、そのような事があるかもしれませんが、その感覚が生まれた時は、主人公が初めて変化を望み選択をした事で、海の波のような、人生の波が生まれた瞬間のように感じられました。他の言葉で表すと変化とともに人生に山が生まれた事で、谷も生まれたのではないかという印象だったという事です。

あそこで彼女が変わる選択をしなければ後に起こる幸福や不幸はなかったかもしれない。それだけその選択が人生に大きな影響を生んだと感じました。

そして、もう一つの大きな衝撃として私に刻み込ませた言葉として「自分の体が墓場であること」という言葉でした。

男では経験し得ない、絶望・悲しみというありきたりな感情の言葉が集約し、悲しみの極地に達したようなこの言葉は、男の私には想像を絶する言葉でした。この部分を私が語るのは無粋だと思うので多くは語りませんが、ただ一つ言えるのはこの表現が大袈裟ではないのだと、女性の心情の理解という点で見聞が広がったと感じています。  この主人公の方が考える事柄は、私よりも賢く、繊細なものでしたが、その考えはすごく私には共感できる部分でもあり、自分を投影しているような性格だなぁーと思いました。

今回の作品は女性のデリケートな部分が切実に描かれていた為、感想の表現がすごく難しかったです。しかし改めて、女性の強さを再認識しリスペクトする機会でもあったような気がします。是非読んで頂きたい一作品です。